『環境活動家のウソ八百』
リッカルド・カショーリ/アントニオ・ガスパリ(2008)『環境活動家のウソ八百』洋泉社、760円+税。
イタリア生まれの著者たちが、環境保護運動の背後にある「隠された目的」を明らかにしようとしたのが、本書となります。
著者たちによれば、20世紀は「優生学」の華々しい登場で幕があけられ、その優生学は「やがて急進的フェミニズムや産児制限運動、環境保護運動と結び」ついていった。そして、「これらの運動に共通する特徴は少数のエリートたちに対する人々の信頼」であり、その信頼を前提としてエリートたちは、「自分たちの進みたい方向に民衆を引っ張っていくために」、「"扇動的災害論"を振りまわす」ようになったとのこと。
環境保護活動家が振りまわす「扇動的災害論」である「人口過剰」「持続可能な開発」「森林破壊」「地球温暖化」などを「検証」することで、広く流布する「環境神話」が、「過去にルーツを持つ価値観やイデオロギーの落とし子」であることを明確化する必要があると考えたことが、本書を書いた著者たちの問題意識となっています。
本書の内容は、「環境というイデオロギーの名のもとに行われている数々の欺瞞」「環境問題の常識に反証する」「正しいエコロジーとは何か」「環境紳士録」という4部構成になっています。1部では、「エコロジー」と「優生学」との関係が、スウェーデンの事例とともに紹介されています。2部では、「人口過剰」「持続可能な開発」「地球温暖化」等に対する議論の問題点が、著者たちの立場から、具体事例とともに指摘されています。3部では、著者たちの考える「正しいエコロジー」の議論へと進んでいき、4部では「環境紳士録」ということで、グリーンピース、WWF、ワールドウォッチ研究所が行っている活動の問題点がいろいろと指摘されていて、興味深い内容になっています。
環境保護運動については、ここ数年、国内でも問題点を指摘する著書が何冊か発行されていますが、環境保護を行う活動家たちの思想史的な背景を、「優生学」というキーワードで示したのが、本書の特徴となります。その意味では、国内の関連書と比較しながら読むと、参考になる部分も多いと思います。
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