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『発達障害 境界に立つ若者たち』

山下成司(2009)『発達障害 境界に立つ若者たち』平凡社新書、740円+税。
本書は2部構成になっていて、第1部は、「はざまの子」のためのもうひとつの学校ということで、著者の山下さんとの関係で、2009年3月に閉校した「A学院」の歴史が書かれています。そして第2部では、「A学院」の卒業生に、山下さんが行ったインタビューが6名分掲載されています。

本書を執筆した山下さんの問題意識は、「はざまの子=境界児」と呼ばれるのは、どういう子たちなのかということを分かりやすく読者に伝えることにあり、山下さんが彼らに行ったインタビューにより語られた「等身大の言葉を通して、彼らへの理解」が深まることで、彼らにとって「居心地のよい場所」を社会の一隅に創出することを目指したところにあります。

「A学院」の歴史が書かれた第1部では、学院設立のいきさつから90年代後半からの「少子化」による入学希望者の大幅な減少、そして閉校に至るまでの経緯が書かれています。「ある種の人々との出会いは説明不能な化学反応のようなものを起こ」すということで、山下さんのなかに「唐突にわき上がった愛情」について書かれた箇所もありますが、「はざまの子=境界児」と呼ばれる子どもたちに対する社会の対応が、90年代前半からの「A学院」の歴史に対する記述を通して理解できる内容になっています。

第2部は、山下さんと卒業生たちのインタビューでのやり取りが書かれていて、「はざまの子=境界児」たちの何が問題となっているのかが、私たちにも分かる内容になっています。計算問題では混乱してしまって答えが出せないことや、子どもの頃から「ちょっと変な子」だったという「KY」さ、また、「ディスレクシア(難読症)」であることにより直面する困難が、具体的なやり取りとともに記述されています。

山下さんの投げかける質問は、私自身「あっ」と思うようなものもありましたが、二人の信頼関係を前提としたインタビューだけに、そうした質問により、問題の所在がより明らかになっていったと思います。「あとがき」には、「彼らが除外されるような社会ではなく、むしろ『彼らがいてこその社会』」が本当の意味での「ノーマライゼーション」と言うべき、という山下さんのメッセージも書かれていますが、多くの人たちに手にしてほしい本だと思いました。

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